トルク調整の違い
1. トルク調整ダイヤルの有無
ドリルドライバー(写真上)には、トルクを調整するためのダイヤルが付いており、細やかな調整が可能。
インパクトドライバー(写真下)は、基本的にスイッチの引き加減で調整するため、細やかな加減は出来ない。
ペン型インパクトの場合、スイッチの僅かの範囲で調整しなければならない。 www.youtube.com
2. ドリルモードの有無
ドリルドライバーは、ドリル[穴あけ]とドライバー[ネジ締め]と機能が分かれています。
インパクトドライバーでも、大きさによっては穴あけも可能ですが、本来穴あけを目的としたものではありません。
ドリルとインパクトドライバー、それぞれバッテリー2本セット
本体単品では、ここまで価格の差はありませんが、強いて言えばドリルドライバーにはビットが10本付属している。
ドリルドライバーの選び方と違い
ドリルドライバーの特性をグラフで比較しました。
トルク調整範囲と最大トルク
最大トルクの違いと比べて、トルクの調整範囲(クラッチの効く範囲)は、大きな差はない。
メーカー | 型番 | 電圧 | 調整範囲 | 最大値 |
---|---|---|---|---|
Panasonic | EZ7443 | 14.4V | 0.5~4.4 | 28 |
HiKOKI | DB12DD | 10.8V | 0.6~4.0 | 38 |
Panasonic | EZ7421 | 07.2V | 0.3~4.0 | 6 |
Panasonic | EZ7410 | 03.6V | 0.3~2.9 | 4.4 |
グラフの濃い部分が、ダイヤルでトルク調整が可能な範囲です。
トルクの調整可能範囲より上は、ドリルモードなので、穴あけ能力を表しているとも言える。また、グラフの薄い部分をネジ締めには、使いにくいので、この範囲をカバーできるインパクトドライバーがあると良い。
パナソニックは、10.8Vのドリルドライバーはないので、代わりにHiKOKIで比較しています。
どちらもバッテリー2本セット。この値段差だと、マキタを買ってしまう。というかマキタのペンドリルを使っています。この差が気にならなかったら、パナが欲しかった。
パナソニックのEZ7421は、回転数は無段階で調整できるようなので、値段の差には、それなりに意味があります。
EZ7421を買っておけば良かった。
トルク調整範囲
どれだけ細かくトルクを調整可能かグラフ化しました。上のグラフの濃い線を拡大したものです。
ドライバー本体の重さ・形状といった、取り回しやすさで使い勝手が変わってくると思います。
ドリルモードでのトルクの違い
低速と高速でのトルクの違い。低速の方がトルクが強いのは、低速というよりギアの「ロー」ということだと思います。
「ハイ」と「ロー」と思ったほうが理解しやすい。
ドリルドライバーはギアが入っているので、トルクは、モーターの回転数と「ギア」で調整している。
インパクトドライバーの選び方と違い
ドリルドライバーと比べると、基本的にトルクの調整は「回転数」と「打撃数」で決まる。
マキタのインパクトドライバーで比較。細かい調整はドリルドライバーの様には出来ない事が、お分かりいただけるでしょうか。
最大回転数とトルク
メーカー | 型番 | 電圧 | 回転数 | トルク |
---|---|---|---|---|
makita | TD161D | 14.4V | 3400 | 175 |
makita | TD138D | 14.4V | 2400 | 160 |
makita | TD111D | 10.8V | 3000 | 135 |
makita | TD022D | 07.2V | 2450 | 25 |
インパクトドライバーとドリルドライバーでは、負荷のかかってない状態の回転時の音の違いは、多分「ギア」の有り無し。
どっちがいい
今までに4本の電動ドライバーを買いましたが、「これにしておけば良かったなーと」後悔はあります。今持っているmakitaのTD022Dは下穴用でDF030Dがメイン。十分に用は足りていますが・・・
値段を気にしなければ、パナソニックのペン型EZ7421とHiKOKI DB12DDの2台があれば、大体カバーできると思います。
インパクトドライバーは、リフォームで来た職人さんでも、ネジ頭が見える所を、結構なめてたりするので、プロはインパクトを使いこなすというイメージはないです。
作業の効率や、何台も買うとお金もかかるので、インパクトで何でも作業するのは、ある意味仕方ないのかも知れませんが。
DF030DWSPを使っていますが、左上のDF033DSHXを買えばよかったと思っている。
トルク調整の違い
ドリルドライバーとインパクトドライバーでは、スペック的には明らかにインパクトの方が締め付け能力高い。
但し、使い比べた感じでは、
インパクトの20N・mとドリルドライバーの20N・mは、イコールではない。恐らく、測定方法が違う。
マキタのペンインパクトが25N・mで、ペンドリルが8N・mと本体重量もほぼ一緒・同じ電圧で、4倍強も強力はないですよね。
後述しますが、最大22N・mの10.8Vのドリルドライバーの方が強力です。
ドリルドライバーの「クラッチ作動範囲」
以下の機種の場合、最大トルクが大きくても、クラッチ作動範囲は4.0N・m以下。
メーカー | 型番 | 電圧 | クラッチ 作動範囲 |
最大 |
---|---|---|---|---|
HiKOKI | FDB3DL2 | 03.6V | 0.3~2.9 | 5 |
HiKOKI | DB12DD | 10.8V | 0.6~4.0 | 38 |
makita | DF012D | 07.2V | 0.3~2.9 | 8 |
makita | DF030D | 10.8V | 不明 | 22 |
panasonic | EZ7421 | 07.2V | 0.3~4.0 | 6 |
panasonic | EZ7443 | 14.4V | 0.5~4.4 | 28 |
ペンドライバドリル(DF012D)は、最大トルク8N・mですが、取扱説明書によると最大トルクは低速のドリルモードで、高速の場合は1.5N・mとなっている。クラッチの目盛りは4つ違うと約0.5N・m強くなり、クラッチが効く範囲では、2.9N・mが最大。
マキタの場合、ペンドライバドリル(DF012D)しかスペックは掲載されていない。小さいネジを止めることを想定しているので、マニュアルにはこのように書いてあるのでしょうか?
パナソニックのペン・スティック型(EZ7421)も、細かく記載されています。精密な作業には、パナソニックのドリルドライバーの方がラインナップが充実していておすすめです。
ドリルドライバーの「ドリルモード」
錆て固着したビスを抜こうとすると、ドリルドライバー(モデルNo.DF030D)は、ドリルモードにすると捩じ切ってしまうこともありますが、インパクトドライバー(モデルNo,TD022D)だと、捩じ切るどころかネジ頭を舐める心配も少ない??
錆びたり、捩じ切ってしまったビス
所有しているトルクが25N・mのインパクトドライバーと、22N・mのドリルドライバーでは、数値上のトルクの小さいドリルドライバーの方が強力です。
インパクトドライバーの作業範囲
木工の場合は下穴なしで、長いビスは摩擦が大きくなるので、長いコーススレッドをねじ込む時が一番トルクが必要になり、ボルト・ナットは最後に必要になる感じでしょうか。ネジとボルト・ナットでは、トルクが必要な所が違うと思います。
素材とビスの長さと、必要なトルクの目安とかあれば良いのですが、車や自転車の場合は、ここはトルクどれくらいとか目安があります。トルク管理が必要なので、インパクトドライバーだけでは、作業は完結しませんが。
マキタのインパクトドライバーの高級機は、楽らく4モード・打撃の強弱の調整ができるものもあるが、ドリルドライバーのクラッチとは異なります。「打撃モード弱」で回転数を1,100rpmに設定できますが、ペンインパクト(TD022D)の場合、最大3,000rpmまでをスイッチの加減だけで調整しなければならない。
用途の違い
電動ドライバーの選び方のポイントは、「用途」をはっきりさせること。大は小を兼ねないと思った方が、失敗しないでしょう。
DIYで手すりの設置
電動ドライバーがなかったら、これは出来なかったと思うのが、手摺の設置。
硬いベースプレートに下穴をあけたり、ビスも長く・数も多い。既製品のセットでは、ネジが、メッキのような表面加工してあるものもあり、滑りやすい。セットになった手摺のブラケットのビスは、予備が無いので失敗すると見栄えが悪いので、こういう作業には「ドリルドライバー」がおすすめ。
下地張り
リフォームしているのを見ると、コンパネ等下地を張るのに、ビスをガッガッっと止めているので、こういう場面では、インパクトドライバー。ねじ込み過ぎたり、ネジ頭を潰しても見えないのでOKという感じで作業しとていると思います。
壁や天井の場合は、ビスを打った後にパテを塗って、壁紙に影響しないように処理するので、早さ優先という感じ。
エアコン設置
電気屋さんは、ペンインパクトドライバーかペンドリルを使っている。エアコンを壁に吊り下げるパネルの固定も、ビスをガッガッっと止めている。
こう見ると、インパクトドライバーでビスを止めるのは、ネジ頭が最終的に、露出しない所に向いているとも言えるのではないか?
タイヤ交換
必要なトルクがあっても、既定の値で締めなければならないので、最後はトルクレンチで手締めが必要。インパクトレンチだけでは、トルク管理ができないので作業は完結できない。
ビットの取り付け方法の違い
インパクトドライバー
マキタの型番がTDから始まるインパクトドライバーは、スリープを手前に引いてビットを脱着方式で、6.35mm(1/4インチ)六角ビット1種類。ドリルドライバーとは違い、型番TDの後の数字は、ビットの取り付け方法とは関係ありません。
インパクトレンチとの違い
先端が、四角のオスになっている。ソケットの角ドライブに差込。六角ビットを使用する場合は、変換アダプタが必要になります。凸側をドライブ角。ソケットの凹側を差込角というようです。
トルクの強さ的に、車のホイールナットに使えそうな機種もありますが、強く締めればいいわけでもないので、DIYの用途は少ない??
説明書にも、用途として仮締付けとあるので、トルク管理が必要なナット・ボルトだと当然ですね。
ドリルドライバー
マキタの型番がDFから始まるドリルドライバーは、スリープを手前に引いてビットを脱着方式とスリープを回転させてチャックを閉めるタイプの2種類があり、使用可能なドリルの太さにも違いがあります。
チャック能力 | コード | モデルNo. |
---|---|---|
6.35mm六角ビット | 0 | DF030D DF033D |
0.8~10mm | 3 | DF330D DF332D DF333D DF370D |
1.5~13mm | 4 | DF470D DF471D DF473D DF474D |
型番DFの後の一桁の数字が、チャック能力を表しているようです。
価格の違い
マキタの、7.2V・10.8V・14.4Vシリーズで本体のみで購入できる機種の、希望小売価格を比較。
トルクと回転数の様な違いはない。ブラシレスモーターを採用している機種は高い。
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今、パナソニックはプロ用しか作っていない。このステックドリルドライバーは欲しい。 pc.watch.impress.co.jp